Project/Area Number |
06740477
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Organic chemistry
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
石田 尚行 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (00232306)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 有機強磁性体 / ラジカル / X線結晶構造解析 / ピリミジン / 銅錯体 / 強磁性的相互作用 / ニトロキシド |
Research Abstract |
平成六年度の最も注目すべき成果として、完全に有機物よりなる強磁性体を2種を見い出したことが挙げられる。有機ラジカル結晶の強磁性体は既に本研究室から3種を見いだしているから、史上知られている有機強磁性体のうち約半数が本研究により創出されていることになる。 芳香族環とアゾメチンで結合したTEMPOラジカル誘導体で、強磁性的相互作用を有するものが見出された。これらの交流磁化率、磁化曲線の測定をヘリウム希釈冷凍機の温度領域で行なった。その結果、新たにp-フェノキシフェニルのものが0.2Kで強磁性転移を起こすことがわかった。X線結晶構造解析によれば、一連のTEMPOラジカル強磁性体のN-O部分は二次元ネットワークを形成していた。分子構造に基づいて分子軌道計算を行ったところ、スピン分極の理論によりこのネットワーク内での強磁性的相互作用を合理的に説明できることがわかった。また、アゾメチン結合とは異なる分子骨格を有する有機強磁性体を探索したところ、TEMPONのオキシムが0.25Kで強磁性転移をおこすことがわかった。オキシムの水酸基のD化を行ったが、磁性に有意な変化は見られなかった。 別のアプローチとして、スピン源として遷移金属イオンを用い芳香族環としてピリミジンで架橋配位させ、d軌道上のスピンを平行にすることを試みた。ピリミジン誘導体を架橋配位子とする銅(II)錯体については強磁性的相互作用が見られ、X線結晶構造解析により明らかにされた一次元構造にもとづいてモデルにフィットさせ、交換パラメーターが約0.3Kと求められた。また、過塩素酸銅(II)とピリミジンよりなる固体が約10Kで強磁性転移し、それより低温ではヒステリシスが見られた。
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