ガン化に関連する糖転移酵素に対して特異的阻害活性を持つチオ糖の酵素を用いた合成
Project/Area Number |
06740500
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Organic chemistry
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
湯浅 英哉 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (90261156)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 糖転移酵素 / 阻害剤 / チオ糖 / 遷移状態類似体 / 糖加水分解酵素 / スルフィルイミン / アノマー効果 / 環化反応 |
Research Abstract |
癌化に伴って異常に多く発現することが知られている糖転移酵素の一つ、グルコサミニルトランスフェラーゼVを阻害する物質が合成できれば、癌の治療や機構解明に大きく貢献することが期待される。当研究ではこの目標に向ける第一段階として、全く新しいタイプの遷移状態類似体であるイミノチア糖が合成された。この化合物はフラノースの環硫黄原子置換類似体であり、硫黄原子にはトルエンスルホニルイミノ基が付加され、3価となっている。この化合物はプロトンNMRおよび分子モデルより、糖転移反応の遷移状態に構造および電荷分布が似通っていることが示された。また、糖転移酵素阻害剤への応用の指標として行った糖加水分解酵素に対する阻害実験では、この化合物の酵素に対する結合が基質よりも2倍ほど大きいことが示された。温度可変による阻害実験では、この結合にはエンドロピーの寄与がないことが示され、トルエンスルホニル部分が結合の邪魔をしている可能性が示唆された。したがって、さらに阻害活性を向上させるには、トルエンスルホニルイミノ基のうち、特にかさ高いスルホニル部分を除去した化合物が有力であることが示された。また、この化合物の合成途上、環化反応の進行がアノマー効果の有無に依存するという有機化学上の新しい発見がなされた。 以上のように、本研究では新しいタイプの糖類似体イミノチア糖の効率的合成法および糖転移酵素阻害剤としての可能性が示された。
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Report
(1 results)
Research Products
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