Research Abstract |
目的化合物[M_3Cp_3(CPh)_2](M_3=Co_3,RhCo_2,Rh_2Co,Rh_3)のすべてを合成することに成功した.合成はCo_3の合成法をもとに行い4種のクラスター錯体はカラムクロマトグラフ法により分離精製した.これらすべての化合物はジロロメタンまたはジクロロメタン/ヘキサンの混合溶媒から溶媒をゆっくりと蒸発させることによって良好な単結晶を得た.Co_3は三針晶系,他のものは単斜晶系となりそれぞれ独立に3分子,2分子のクラスター錯体が単位格子中に存在した.RhCo_2錯体ではRhとCoのディスオーダーにより金属原子間の距離を求めることはできなかった.残りの3種について距離を比較してみるとCo_3でCo-Co距離は2.382(8)Å,Rh_3でRh-Rh距離はで2.620(11)Åであった.混合金属クラスター錯体Rh_2CoではRh-Rh距離はRh_3におけるのとほぼ同じ2.616(8)Åであり,Rh-Co距離(2.503(15)Å)はRh-Rh,Co-Coのそれぞれの1/2の和2.501(15)Åにほぼ等しかった.また,M-C(キャップ)の距離も同核と異核のクラスター錯体で特に変化は見られずそれぞれの結合は共有結合性が強いとみられる. これらの錯体すべてのサイクリックボルタモグラムは化学的に可逆な1電子酸化波を示し,Rhの数が増えるほど電位が高くなることわかった.これらを電解酸化することにより酸化種の安定性を調べたところCo_3とCo_2Rhでは1電子酸化種が安定に存在するが,Rh_3では1電子酸化種の寿命は短く1電子酸化種を単離することは困難であると考えられる.Co_3の電子酸化種は電解酸化により過塩素酸塩を合成し単結晶として単離することに成功した.
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