Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
|
Research Abstract |
水面上に展開した蛍光プローブのβ-パリナリン酸単分子膜の表面圧-面積曲線を測定し,安定な固体凝縮膜ができる条件について調べたところ,水層にバリウム塩を加えた系で達成できることが明かとなった。次に,β-パリナリン酸の水面上展開単分子膜の運動性やミクロな粘度の膜の圧縮にともなう変化について調べるために,時間分解蛍光異方性スペクトルを全反射法で測定しすることとした。そこで,現有の蛍光測定装置に改良を加え,全反射用特殊蛍光セルとオプティカルファイバーを組み合わせて測定工学系を組み立てた。 その結果,水面上単分子膜からの蛍光強度は非常に弱いことがわかった。これは、β-パリナリン酸が固体膜であるために蛍光の量子収率が低下したためと考え,表面圧の低い膜系で同様の測定を試みたが,強度増大はわずかであった。このことから,水面上でパリナリン酸単分子膜は低い表面圧においても分子同志が凝集構造と取っていることがわかった。 β-パリナリン酸分子の凝集を防ぐためにステアリン酸およびジパルミトイルフォスファチジルコリン(DPPC)の混合膜系の蛍光スペクトルを測定した。表面圧-面積曲線から,いずれも水面上で安定な単分子膜を形成することが明かとなった。しかし,蛍光強度は増大する傾向を示したが,定量的な解析をするまでには至らず,混合膜中でドメイン構造を形成していることが示唆された。今後の課題としては,ジフェニルヘキサトリエンなどの量子収率の高い蛍光プローブの探索とその系での測定および光学系の改善などがある。
|