複数の不斉中心を有する化合物の一段階合成反応の開発
Project/Area Number |
06740549
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物質変換
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河合 靖 京都大学, 化学研究所, 助手 (20240830)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 還元酵素 / 不斉還元 / 光学分割 / ヒドロキシエステル / パン酵母 |
Research Abstract |
全くのラセミ体の化合物から、一段階で3点の不斉炭素を立体選択的に導入する、新しい不斉還元反応の開発が申請者の目的である。バン酵母中より単離した新規な酵素を用いてラセミ体の2-メチル-3-オキソブタン酸の2級アルコールのエステルを還元したところ、選択的に(2R,3S,1'R)体のヒドロキシエステルが得られることを見出した。エステル部位のアルコールの置換基を変えた化合物を種々合成し反応の選択性を系統的に検討したところ、脂肪族アルコールよりも芳香族アルコールの方が高い選択性で反応が進行し、芳香環の置換基の位置によって選択性が大きく変わることを明らかにした。最も良い結果を与えた2-メチル-3-オキソブタン酸(3-ピリジル)-1'-エタノールエステルでは、単離収率40%で(2R,3S,1'R)体のヒドロキシエステルが>99%e.e.90%d.e.で得られた。生成物には3個の不斉炭素が有るので、考えられる8種類の光学異性体の内の一種類を95%の純度で生成している事になり、極めて高い立体選択性で還元反応を行うことに成功した。非環状の化合物で、まったくのラセミ体からこの様に高い立体選択性で、3個の不斉炭素が一段階で導入できる反応は他に例を見ない。 次に、同様な手法で異なる立体配置の化合物が得られると、不斉合成反応として更に利用価値の高い反応となるので、パン酵母以外の微生物の立体選択性を調べた。種々の微生物を検討したところ、Geotrichum candidumが(2S,3S)体を与えるのに適した微生物であることを見出し、更にこの微生物より(2S,3S)体のヒドロキシエステルを与える酵素を単離した。現在、上で述べた反応と同様の反応を検討し、3個の不斉炭素を一段階で導入する反応の詳細を検討している。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)