Research Abstract |
大腸菌のruvC遺伝子は,遺伝的相同組換えの中間体であるホリデ-構造を切断するエンドヌクレアーゼをコードしている。ところが,ruvC単独ミュータントは,さほど組換え欠損にならない。このことは,大腸菌にはruvC遺伝子産物以外による組換え中間体のプロセッシング機構が存在することを示唆している。我々は,ruvCとの二重変異で組換え欠損となる新たなTn10挿入変異株を単離し,その原因遺伝子をrecHと名付け解析した。その結果,以下の成果を得た。 recH変異を相補するプラスミドクローンを大腸菌のPstIライブラリーから得た。挿入DNAは,約4kbあり,小原らの大腸菌ラムダライブラリーとハイブリダイゼイションを行いクローンを対応させた結果,λ115とλ166であることがわかった。詳細な欠失プラスミドを作成して対応する遺伝子を求めた結果,dksA遺伝子と recH遺伝子は同一の遺伝子であることがわかった。dksA変異は,分子シャペロニンの一つをコードしているdnaKの欠損を相補するサプレッサー変異(dnaK supressor)として同定された遺伝子であるが,野性型dnaK遺伝子の機能や,サプレッションのメカニズム等詳細はわかっていない。現在,dksA遺伝子と相同組換えとの関係を解析している。
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