中新世ヒト上科霊長類における股関節構造の機能形態学的解析
Project/Area Number |
06740655
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
人類学(含生理人類学)
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
中務 真人 大阪医科大学, 医学部, 助手 (00227828)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 中新世ヒト上科 / 霊長類 / 大腿骨 / 機能形態 / Proconsul / Kenyapithecus / positional behavior |
Research Abstract |
中新世ヒト上科霊長類のpositional behaviorを推測するために、大腿骨頭関節面の詳細な計測及び大腿骨近位部の非計測特徴の観察を行い、股関節がどのような機能適応を行っているかを分析した。対象は現生の霊長類から新世界ザル3属(オマキザル、ホエザル、クモザル)、旧世界ザル2属(オナガザル、コロブス)、現生類人猿2種(チンパンジー、テナガザル)およびヒトの計8属72個体、また中新世化石霊長類Proconsul、Kenyapithecus各4個体である。計測によって骨頭関節面の広がりを定量的に評価し、その広がりの程度、また広がりのパターンを評価し、運動機能と関連させた。 調査した現生霊長類においてオマキザルが最も原始的な形態をとどめている一方、大型の新世界ザルと旧世界ザルにおいてそれぞれ異なった特殊化の傾向が認められた。前者では前面において骨頭関節面が広い、小転子は内側を向き長い、大転子の高さは低い。これは股関節について屈曲姿勢、屈曲時の内旋等の機能が発達していたことを示す。一方、後者では関節面の後面が広く、頸部に前捻が発生し、大転子は高く、小転子は後方を向くこれは大腿のworking positionを内転位に保ち、深殿筋を股関節の伸筋とするための特殊化と考えられる。 化石霊長類の中でプロコンスル属は大型の新世界ザルのタイプに近く関節面前部は比較的広い。このことから垂直登高や不安定な樹上での体の支持と言った機能が発達していたことが推測される。一方、ケニアピテクスはプロコンスルに比べ全体的に関節面の広がりが狭く、それ以外の形態特徴から樹上での移動、姿勢維持に優れていると推測されるものの、プロコンスルとは異なった行動様式あるいは生息環境を持っていたと考えられる。また、両者ともに旧世界ザルに見られる特殊化パターンに関する特徴は認められず、四足走行型の運動を行っていた可能性は否定された。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)