Project/Area Number |
06740656
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
人類学(含生理人類学)
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Research Institution | National Museum of Nature and Science,Tokyo |
Principal Investigator |
松村 博文 国立科学博物館, 人類研究部, 研究官 (70209617)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 1994: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | 更新世 / 人類 / 北海道 |
Research Abstract |
日本人の起源の解明にあたって、更新世の人類化石の発見が待たれている。東日本では旧石器時代の遺跡が数多く分布するにもかかわらず、未だ人骨の検出がなされていない。石灰岩洞穴は化石の保存に最もてきした環境にある。そこで北海道西南部において更新世人類化石の発見が期待される石灰岩洞穴遺跡の分布調査をおこなった。調査地域は洞穴の発見に有望な先第三系の石灰岩広くが分布する函館北部の上磯地域ならびに渡島半島西岸の島牧村である。両地域にて延べ20日間にわたり沢沿いに踏査をおこなった。その結果、上磯地域においては戸切地川中流から上流にかけての先第三系の石灰岩ブロックに5カ所の洞穴が確認されたが、約200mほどのがけ中腹に位置し、発掘調査は極めて困難であった。一方、島牧村においては大平川から泊川に挟まれた先第三系の地域を踏査した。先史人類の居住に適した洞穴はカモイ川上流およびホンベツ川中流の枝沢に存在するが、このうち後者の洞穴については発掘調査をおこなった。基盤にいたる2m50cmの深度まで掘り下げた結果、炉跡ならびに2点の黒曜石の石鏃が検出された。炉跡の木炭のC14年代測定から、およそ8000BPの年代が得られ、縄文時代前期の遺跡であることが確認された。石鏃の形態もこの年代に矛盾はなかった。北海道では前期旧石器の遺跡は希少であり、この結果は極めて重要である。今回の調査では更新世の遺物は検出されなかったが、今後の発掘調査で更新世人類の化石の発見が期待される有望な洞穴のひとつであることが確認された。
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