Project/Area Number |
06750024
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
表面界面物性
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
川崎 宏治 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 助手 (10234056)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 光の干渉効果 / 表面光吸収分光法 / 表面改質 / その場観察 / 電子線照射 / F脱離 / CaF_2 / P |
Research Abstract |
弗化物上にIII-V族半導体をヘテロエピタキシ-する際に必要な、電子線照射によって行う弗化物の表面改質の機構を光でプローブする目的で行った。 まずSi上の膜厚20nmのCaF_2では、プローブ光の基板に対する入射角度を80度に設定することにより、光の干渉効果のために表面感度を高く弗化物の表面改質をとらえられることがわかった。そこで、この入射角度でキセノンランプの白色光をCaF_2表面に入射し、その反射光を分光器で分光し、電子線照射により生じる吸収スペクトルを表面光吸収分光法でその場観察した。その結果、基板温度200℃において電子線照射の初期では、波長580nmに吸収ピークを持つ、Caの表面プラズモンによる吸収が観察された。これは、電子線照射による最表面からのFの脱離を示唆している。その後、照射し続けることによりバルク中のFの脱離によると考えられる反射光強度の減少が観察された。この減少し始めるド-ズ量は、電子線のエネルギーが20eVから300eVの範囲では、そのエネルギーが高いほど多くの量を必要とする結果が得られた。これは、電子線のFに対する散乱断面積が大きいほどFが脱離しやすいことを示しており、照射した1次電子がF脱離現象に強く作用していると言える。20eVの電子線エネルギーでもF脱離が観測されたことは、Caの内殻励起のオージェ過程のみならずCaF_2の価電子帯電子の励起によってもF脱離が起こることを示している。 次に、P雰囲気中で電子線を照射したところ、Pの吸着によって反射強度が増加し、それがある値で飽和することがわかった。その値は電子線のエネルギーによらずほぼ一定の値を示し、約1原子層でPの吸着が飽和していること明らかになった。しかし、吸着量の飽和に必要な電子線の照射量は、エネルギーが高いほど少ないという傾向となり、上述のF脱離の場合と逆関係である。今回の実験のようにV族原子としてP_4分子を用いた場合、CaF_2の表面のFは電子線の1次電子で脱離が起こるが、P_4分子はむしろCaF_2からの2次電子によって表面でP原子に分解され、Fの空孔に化学吸着するという機構を考えた方が現象を説明するには無理がないという結果を得た。
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