Research Abstract |
1.気相反応過程の解析 多結晶シリコン堆積のためのSiF_4/SiH_4/H_2混合気体のプラズマ中に生成されるラジカル種の種類と密度を,計算機シミュレーションおよび質量分析法により予測した.主なラジカル種としては,SiH_4から生成されるSiH_3,H,およびSiF_4から生成されるSiF_3およびFラジカルが基板表面近傍で支配的であり,堆積速度と正の相関を有するのはSiH_3であることを明らかにした. 2.表面反応および膜堆積過程の解析 (1)SiH_4/H_2にSiF_4を添加することにより,膜中の結晶成分が50%から80%まで結晶成分が向上した.このことから,SiF_3およびFは成膜のためのSi原子の供給はしないが,膜質の向上に寄与していることを明らかにした.またH_2希釈率を増加させると,更に堆積初期における結晶の成分が向上した.このことから,HラジカルもしくはH_2も堆積過程に影響を及ぼしていることを示した. (2)SiF_3およびFの効果を調べるため,Si薄膜表面にSiF_4プラズマが与える影響を調べた.その結果,c-Siにくらべa-Siのエッチング速度が高く,SiF_4/SiH_4/H_2プラズマ中ではa-Si成分の半選択的エッチングが結晶成分の向上に寄与していることが示唆された.また,結晶成長を阻害する不純物に対する影響にも着目し,Fが表面の酸素に吸着しやすいことを明らかにした.しかし表面から脱離して除去されるには至らなかった. (3)反応室の外部より別途Hラジカル生成源を設け,Hラジカルが膜表面に及ぼす影響を調べた.Hラジカル処理により堆積した膜が除去されることから,Hラジカルの主な効果がエッチング効果であることを示した.しかし詳細な解析の結果,エッチングにより生じる表面荒れ層の下層には,結晶成分が処理前よりも向上した層が形成されていることが明らかになった.
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