確率場上の時間成長現象に対する数学的考察とその工学的不確定性解析への応用
Project/Area Number |
06750070
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Engineering fundamentals
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 泰明 京都大学, 工学部, 助手 (90217068)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 確率場 / 確率微分方程式 / 初到達問題 / 確率的破壊力学 / 余寿命分布 / 計算機シミュレーション |
Research Abstract |
本研究では、確率場上の時間変化現象を、特殊な形の確率微分方程式の形で数学的に記述し、解過程の確率分布の時間変化を追跡する手法を構築すると共に、その手法の妥当性について計算機シミュレーションを援用して検証を行った。また、構造信頼性工学において重要となる疲労き裂の不規則進展問題への本手法の応用も試みた。得られた主な結果は以下の通りである。 1.確率場上に定義された特殊な確率微分方程式に対して、初到達時刻の考え方を援用することにより、物理的に矛盾を引き起こさないような解の定義法を構築し、構成した解過程の推移確率分布を導出する解析的手法をまず一般的な形で構築した。この手法においては、フォッカー・プランク方程式の解を求めるこが必要となるが、解析的な形で厳密解を得ることが難しいため、確率場の相関距離についての漸近的極限状態に着目した2種類の近似解法を提案し、この近似の下では解の推移確率分布を解析的な形で表示し得るということを明らかとした。 2.以上の結果を疲労き裂の不規則成長問題に適用し、本モデルの適用によりき裂長の確率分布の時間変化および残存寿命分布を解析的な形で導出できることを示した。 3.提案した近似手法の妥当性ならびに近似精度を検証するために、き裂進展の残存寿命分布を例に取り、計算機による動的なシミュレーションを行った。この結果、本研究で提案している解析手法はシミュレーション結果を非常によく再現し得ること、また上述の2種類の近似手法のうち、中心極限定理に基づいたガウス近似がよい精度を与えること、などを明らかとした。 以上の点に加えて、工学上の他の重要な問題への本手法の適用可能性についても検討し、地震波の不規則伝播問題や情報の空間的伝播問題などにも本手法を適用し得ることを確認できた。今後はこういった問題への応用研究が必要となると考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)