Research Abstract |
金属箔の成形向上の重要な方法の一つとして,工具-被加工材料間の摩擦力の制御があげられる.摩擦力の制御には,電場のもとで粘性が変化する電気粘性流体を利用することが考えられる.本研究では,電場中での液晶(電気粘性流体)の潤滑特性を調べるとともに,深絞り試験装置の製作をおこなった. 1.金属箔深絞り摩擦潤滑シミュレート試験装置の設計・製作および実験 電気粘性流体(液晶)の潤滑特性を検討するために,深絞り加工における摩擦潤滑状態をシュミレートできる引抜き方式の摩擦試験機を設計・製作した.この試験機は液晶を塗布した上下一対の電場印加工具で帯状のステンレス箔試験片(板厚15μm)を挟み,試験片を引き抜く形式である.試験片には,電場印加工具をとおしてエア-プレスからの垂直力が負荷される.この時の垂直力と引抜力を計測し引抜行程中の摩擦係数を調べることができる.工具表面は樹脂フィルムで絶縁してある. この試験機を用いて,プレスの加圧力,引抜速度および印加電圧を変化させ摩擦係数の変化を調べた.これらの条件に対する摩擦係数の変化は複雑で,変化のメカニズムについては現在検討中である. 2.金属箔の深絞り試験機の製作 深絞り試験機を製作した.ポンチは油圧装置によって駆動され,しわ押さえ力は圧電素子によって負荷される.この装置は様々な種類の形状のポンチおよびダイスを装着することが可能であり,工具の高精度相対位置決めも比較的容易にできる工夫がなされている.工具表面を絶縁性セラミック膜でコーティングすれば電場印加が可能となり,液晶の粘性を変化させることができるようになる.
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