Research Abstract |
近年,大きな非球面度の光学素子の測定が求められている.このような素子の測定法方として,ゾーンプレート干渉法がある.しかし,測定対象に合わせて測定の基準となるゾーンプレートを一枚ずつ製作するため,コストや製作時間がかかる等の問題がある.この問題を解決するために液晶の高速表示性に注目し,ゾーンプレートパターンを液晶に表示し,電気的に製作する方法が最適であると考える. そこで,本研究では,ゾーンプレート用の液晶を試作し,その評価を行うことを目的とした.当初の研究計画では,二次元のマトリクス状にピクセルが並んだ物と同心円状にパターンを並べた物を試作する予定であったが後者は,製作をすることができなかったため,二次元のマトリクス状にピクセルが並んだ物のみで実験を行った. 試作した液晶のピクセルのサイズは,x方向が58μ,y方向が56μであり,表示サイズが20.2mm×26.7mmである.この液晶にいくつかのゾーンプレートパターンを表示し,これに平行光を入射したところ,レンズ効果が確認できた.しかし,液晶のピッチが粗いため,大きな回折角が得られなかった.次に,この液晶をゾーンプレート干渉計に挿入し,液晶ゾーンプレートで干渉縞が得られるかどうか実験を行った.大きな回折角が得られないため,測定対象を平面ミラーとしたところ,コントラストは低いものの,干渉縞を確認することができた.さらに,ゾーンプレートパターンの初期位相を変化させたところ,干渉縞の位相がゾーンプレートの初期位相の2倍の割合で変化することも確認した.これを利用し,干渉縞の位相がπ/2ずつ変化するようにゾーンプレートの初期位相を変化させ,4枚の位相の異なる干渉縞を求め,位相シフト法によって干渉縞を解析することができた. 今後,今回製作できなかった同心円状のパターンを持つ液晶を製作する方法を検討し,実験を継続していく予定である.
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