Research Abstract |
この研究は,混合気を,入射させた衝撃波背後の高圧を利用して圧縮し点火プラグで点火することにより,再現性の高い燃焼を行わせ,吸気効率の変動によってどうしても再現性に劣る内燃機関内の燃焼を模擬して,各種残留ガスの燃焼性状に与える影響を明らかにすることを目的としている. まず,プロパン酸素窒素混合気において,当量比の変化による燃焼圧力の変化を計測し,当量比約1.2で最高圧力を記録した.このことから,当該燃焼システムが,エンジン内燃焼の模擬に有効であることを示した. 次いで,COおよびCO_2ガスを残留ガスの模擬気体として添加した,エンジンの燃焼条件にほぼ相当する当量比0.6から1.6混合気を管内の気体とガス置換し,初期マッハ数1.3の反射衝撃波背後(圧縮比約3に相当)において点火し,燃焼圧を計測した結果,以下のことを明らかにした. 1)CO_2を混合気に添加していった場合,希薄,過濃領域ともに添加物とての挙動を示し,同分量で窒素添加の場合の二倍程度の燃焼圧減少作用がある事がわかった. 2)COを添加していった場合,添加量と共に,希薄域では燃料としての挙動を示すため,燃焼圧の増加作用を持つ,しかし,一般の状態と考えられる過濃域では,酸素の不足から燃料としての働きは出来ず,添加物としての挙動を示し,燃焼圧を減少させる働きをする.以上のことから,最近注目されているエンジンの希薄燃焼域では,排気ガスの再循環によって導入されるガスでは,燃焼圧の降下しか期待できないが,高負荷時のCOを含む排気を希薄時に導入する事によって,その燃焼圧を向上させる可能性が示唆された.
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