Research Abstract |
半導体位置検出素子(Position Sensitive Detector:PSD)は,光入力位置を電位として出力するものであり,これをバンド型の焦点構造を持たせたレーザ2焦点流速計の受光素子として用いれば,粒子が2焦点間を飛行する時間および粒子通過位置により粒子の速度ベクトルが直接計測できる.このような観点のもと,光源にワイドストライプ型半導体レーザ,受光部に1次元位置検出用PSDを用いたレーザ2焦点流速計の光学系を試作した.半導体レーザは光出力1Wのものを使用し,バンド状に形成される2焦点の焦点長さは約0.8mmである.このバンド型焦点を通過した粒子による散乱光を,倍率40の対物レンズにより拡大しPSDへ導いた.PSDの有効受光面積は2.5×34mmであり,焦点長さを満足する.さらに位置検出精度を保つためにPSD出力信号を可変増幅できる回路を付加した. また計測を行う場合には,以下の項目を考慮する必要があることが明かとなった. 1.散乱粒子直径分布による検出誤差 散乱粒子が焦点部分を通過する位置が電位として出力されるが,散乱光強度は粒子直径の2乗に比例して増加するので,粒子直径のばらつきが出力電位の誤差となる.よって本システムにおいては粒子直径のばらつきが少ない基準粉体を使用しなければならない. 2.焦点部光強度分布による検出誤差 焦点深度は約1mmであり光強度分布を光線追跡法により計算したところ,光軸方向の粒子通過位置の違いにより散乱光強度がばらつくことがわかった.しかしながら,粒子が焦点部分を通過する時間(発光時間)を同時計測し,光強度分布の計算結果と対比することにより光軸方向の粒子通過位置は判断できる.よってPSDが出力する電位データを発光時間データで補正することができ,計測精度の向上には飛行時間,PSD電位出力および発光時間の同時計測が必要条件となる.
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