Research Abstract |
火炎構造を調べる場合には瞬時の空間的温度分布の検出は重要な測定要因となる.レ-リ散乱光は比較的散乱断面積が大きいために散乱光強度を測定する場合に適している.本研究では,Nd:YAGレーザの2倍波(532nm)を用いたレ-リ散乱光の瞬時多点同時測定を行うための装置を構成し,層流火炎から消炎近くの高乱流拡散火炎内の瞬時火炎温度分布測定を行った.測定対象としてはステンレス円管から周囲空気流中にガス燃料を噴出させる同軸流拡散火炎である.燃料ガスとしては燃焼ガスのレ-リ散乱断面積が空気とあまり変わらないようにするため水素と窒素を3:7の体積分率で混合したものを用いた.さらに,四塩化チタンを燃料ガスに混入し,反応領域で主に生成される酸化チタンをトレーサ粒子とし,Nd:YAGレーザを用いたレーザ・シート法により流れの可視化を行い,瞬時の火炎内の流れ構造について考察した.以下得られた知見について要約すると,(1)低レイノルズ数の場合は火炎の内側における小さなスケールの渦が温度変動に影響を与えること,そして,レイノルズ数が高くなるにつれて,火炎の外側において比較的大きなスケールの渦が温度変動に影響を与えるようになる.(2)低レイノルズ数の火炎では内側には渦を伴う流れが現れ,外側は層状化している.高レイノルズ数の火炎では渦を伴う流れは火炎の外側にも現れ,その渦の形状が偏平化して,巻き込まれる方向に引き延ばされている場合がある.(3)レイノルズ数が増加するにしたがって,火炎の瞬時最高温度が低下する傾向がある.(4)消炎に近い状態になると,高温度領域が途切れて,孤立して存在する場合がある.
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