Research Abstract |
この研究は,面発光レーザの活性層に電子波を2次元的な微小構造に閉じ込める量子細線を用いて,量子細線面発光レーザを実現するための基礎技術の把握を試みた.この技術は,面発光レーザの横モード及び偏波面を安定化し,かつマイクロアンペア程度の極微小電流駆動の可能性がある.そこで,今回量子細線面発光レーザを実現するために超薄膜成長の技術,細線を作るためのリソグラフィ技術,エッチング技術,再成長技術などの高度な技術工程の習得を試みた.具体的には,超薄膜成長と面発光レーザの反射鏡の製作技術として有機金属気相成長法(MOCVD)によりGaAs/GaAlAs半導体多層膜反射鏡を持った量子薄膜構造の成長を行い,反射率99%,しきい値電流密度6kA/cm^2のダブルヘテロ構造のウエハが得られた.また,面発光レーザの初期実験として量子細線構造の製作技術として電子ビーム露光と反応性イオンエッチング(RIBE)により百nmオーダの量子細線構造をGaAs基板にて実現した.初めのレーザ構造として実際にレーザ干渉露光法を使ってウエハに選択成長用マスクを形成し,MOCVD法により選択成長を行い,量子細線構造のストライプレーザを製作した.このレーザを電流励起によるレーザ特性を調べた結果,しきい値150mAでレーザ発振し,かすかに偏波特性が得られた.この実験により実際に製作した量子細線により偏波特性が制御できる可能性を示すとともに,選択成長により量子細線面発光レーザの実現の可能性を示した.また,この研究成果により,低しきい値面発光レーザの実現に寄与できると考える.
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