Research Abstract |
乱流媒質がリモートセンシングへ及ぼす影響を,従来の受信信号に雑音が付加されたとして解析するのではなく,受信信号そのものに途中の媒質の影響を組み込むという,より実際的かつ複雑な問題を解くことによって解析を行った.具体的には,乱流媒質中の多重散乱理論を用いて,映像レーダーと地球上のターゲットとの間に存在する電離層乱流・大気乱流等の不均質乱流媒質が平均再生像に及ぼす影響について解析を行った。 この場合,電波が発射されてからアンテナで受信されるまでの時間は非常に短く,より実際的な問題として解析を行うには,乱流媒質のもつダブルパス効果といわれる現象を考慮して解析を行う必要がある.これは乱流媒質により波が散乱され,入射する波と散乱する波が確率的に結合することにより生じる.この問題を考慮して解析を行った結果,考慮しない場合の平均再生像に対し,像強度分布に更に歪みを生じさせることが明らかになった.また,このダブルパス効果を考慮して解析した結果に対して,これまでに我々が提案している空間的な重み付けを受信信号に行う方法を適用した場合,平均再生像の歪みを消すことはできないが,その像強度の差を大きくできることが示された.現在は,このダブルパス効果による影響を抑圧させるための重み付けについて検討中である. これらの解析は,複雑な積分を含んでおり,多大の計算時間を必要とする.そのため,乱流媒質による影響を定量的に評価するために実開口のレーダーを基本として解析を行った.現在,これらの問題を合成開口レーダーの問題として拡張し,定式化及び数値解析を行うための研究を引き続き行っている.
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