Research Abstract |
本研究は,平成5年度奨励研究A(♯ 05750431)“プロセスシステムのロバスト制御"で得た結果を基に,計画を発展させたものであり,本年度は,ロバスト性/制御性能の調整を可能にするH^∞制御法の開発を試みた.そして入力むだ時間系のH^∞制御に関して以下の結果を導びいた. 1)入力むだ時間系に対するH^∞制御問題が,集中定数系と同様,2種類のリカッチ代数方程式に基づいて解けることを明らかにした.問題の可能性は,リカッチ方程式の解とある超越方程式の根の性質から検証することが可能であり,制御則はリカッチ方程式の解を用いて構成的に与えられる.これらの結果は,入力むだ時間系のロバスト性/制御性能の調整が,集中定数系と同様,有限次元の演算からなる設計手順で行えることを意味している. 2)初期値変動を考慮した広義のH^∞制御問題を定式化し,外乱抑制と時間応答の間に一定の制約があることを導いた.また,入力むだ時間により制御系のロバスト制が低下することを定量的に示した. つぎに,上述の結果を基に,H^∞制御の特別な場合である,Gap-metricによるロバスト安定化,加法的摂動に対するロバスト安定化問題に解を与え,設計手順を整理した.これらの考察により,「どのような場合にH^∞制御器が予測制御の構造を有するか」など,従来の制御法との対応が明確になった. 現在,本研究で得られた設計法のCAD化を進め,併せて一般の制御系に対して,予見制御とロバスト制御の関係の解明を試みている.
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