Research Abstract |
本研究の目的,都市空間の空隙の形態に対し,既存の評価指標とは異なる定量化手法を構築し,都市環境の評価手法へと展開させるとであるが,本年度における具体的な研究成果は以下の通りである. 1.空隙形状のデータベース化:地図資料の簡易入力システムを構築し,実際に地図資料から建物ポリゴンデータを入力して,空隙形状のデータベースを作成した.これにより,地理情報システムのデータベースが整備されていない地域を取り扱うことも可能となった.一方,広域的に地域を取り扱う場合には,既存のデータベースを利用するのが適当であり,東京23区における各々約5km四方の3地域(西部,中心部,東部)を対象とし,建物ポリゴンデータを含む既存の地図情報システムのデータベースから必要な情報を抽出することおよび不足した情報を付加することにより,空隙形状のデータベースを整備した. 2.都市空間の形態特性に関する分析:上記のデータベースについて,建物階数,建築面積,容積率など都市空間の形態的特性を表す指標に基づき,特に空隙の特性に関わる部分について詳細に分析を行った. 3.定量化手法の提案:空隙の3次元的定量化の手法として,建物壁面を一定角度で上方に投影するという幾何学的定義によるものを提案した.これは,建物により遮蔽された空隙に対して体積を定義したことに相当するもので,ケーススタディによりその有効性を確認した. ケーススタディ:主として局所的なデータについてのみ,上記の定量化手法を適用し考察を行った.その結果,本手法が空隙を定量化するのにある程度有効であることを確認した.
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