Research Abstract |
1.実験 β"-アルミナ固体電解質ペレット上にTiC電極膜を作製し,750℃,電流密度,通電時間をそれぞれ変化させて,Na蒸気中で通電を行った.電圧電流(V-I)特性,交流インピーダンス特性を測定し,β"-アルミナ(BASE)の抵抗変化を調べた.また,通電前後におけるβ"-アルミナペレットを走査型電子顕微鏡(SEM),X線回折により分析した. 2.結果及び考察 アルカリ金属熱発電(AMTEC)作動温度750℃で電流密度5,1.5,1A/cm^2で通電を行い,BASEの抵抗がそれぞれ,2,18,100時間後に急激に変化した時点で通電を終了した.通電後,BASEは破壊していた.この結果より,電流密度が高いほど短い通電時間,通電電気量でBASEに破壊が生じることがわかった.通電後のBASEの断面には,Naイオンが入って行く側(Na流入側)に黒く着色した層が確認できた.この層をSEM観察したところ,黒化していない部分と構造が異なり,微粒化していた.X線回折による分析ではβ"-アルミナ相に変化はみられなかった.電流密度1A/cm^2では,28時間経過時には,黒化層は確認できなかったが,50時間経過時には部分的に黒化層が生成していた.100時間経過後には約660μmの厚さの黒化層が確認できた.電流密度1.5A/cm^2では18時間経過時の黒化層の厚さは230μmであり,電流密度が増加したときには,早く黒化することがわかった.また,黒化層のビッカース微小硬度測定を行ったところ,黒化していない層と比較して硬度が低くなっていることがわかった. 本研究より,750℃でBASEに通電を行うと通電時間が増加するに従い,黒化層がNa流入側に形成され最終的にはBASEの破壊にいたることがわかった.また,高い電流密度になるほど劣化が早くなることがわかった.
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