Research Abstract |
通常の含浸法にてRh-Sn/SiO_2を調製し,申請品である高圧液相反応装置を用いてクロトンアルデヒドの水素化を行った. Snを含まないRh/SiO_2触媒を用いた場合,目的生成物であるクロチルアルコール(CH_3CH=CHCH_2OH)は生成せず,ブチルアルデヒド(CH_3CH_2CH_2CHO)およびブチルアルコール(CH_3CH_2CH_2CH_2OH)のみが生成した.Sn合金化することで-C=C-水素化が抑えられ選択的に-CH=O基が水素化され,クロチルアルコールが生成した.Rh/Sn/SiO_2前駆体を焼成温度および還元温度を変えて処理し反応を行ったところ,焼成温度は高くまた還元温度は低い方がクロチルアルコールの選択率が高いことがわかった.これはRh-Sn/SiO_2触媒表面のSn濃度が高いほどクロチルアルコール選択率が高いことを示唆する.仕込みのSn/Rh比を高くすることでも選択率を高めることができた.第3成分としてアルカリ金属を混入したが大きな効果は見られなかった.反応条件の影響を温度,圧力,溶媒について検討した.反応温度の増加とともにクロチルアルコールの収率は増加した.しかしあまり高温になると1度生成したクロチルアルコールガ逐次的に水素化され不必要なブチルアルコールに変換されてしまう.反応温度には最適値が存在することがわかった.水素圧は高いほど選択率が高くなる.また溶媒は,アルコール等の極性溶媒を用いるとクロチルアルコールの収率,選択率ともに良好であった. 以上の通り,触媒調製因子ならびに反応操作因子を詳しく検討することで,クロチルアルコール選択率80%を越えうる高選択部分水素化触媒を設計することができた.
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