Research Abstract |
1.1-メトキシ-2-ジフェニルホスフィニルナフタレンへの光学活性なアミン[例えば(S)-1-フェニルエチルアミン、(S)-N-メチル-1-フェニルエチルアミン、(R,R)-2,5-ジメチルピロリジンなど]のリチウムアミドやアルコール[例えば(S)-1-フェニルエチルアルコール、(-)ーメントールなど]のナトリウムアルコキシドを求核試薬とする芳香族求核置換反応により、新規なジフェニル(1-置換-2-ナフチル)ホスフィン類を合成した。また、(S)-N-メチル-1-フェニルエチルアミンなどC_2-対称でないアミンから合成されたアミノホスフィン類には、アミノ基の窒素原子とナフタレンの1-位炭素原子間の束縛回転に由来する配座異性体が存在することを見い出した。 2.1.で合成したアミノホスフィン類を配位子とするニッケル錯体がビニルブロミドと1-フェニルエチル Grignard 試薬とのクロスカップリング反応の触媒となることを見い出した。しかし、分子内カップリング反応は現在のところ、成功するには至っていない。 3.1.で合成したアミノホスフィン類を配位子とする金属錯体を用い、アリルエステル類の置換反応や蟻酸還元、スチレンのヒドロホルミル化やヒドロホウ素化、アセトフェノンのヒドロシリル化など種々の触媒反応を検討した。その結果、(S)-1-フェニルエチルアミンから誘導された配位子のロジウム錯体によるヒドロシリル化で40%ee程度、(R,R)-2,5-ジメチルピロリジンから誘導された配位子のパラジウム錯体によるアリル置換反応で60%ee程度の不斉収率が得られた。また、蟻酸還元反応でも良好な収率で末端オレフィンが得られており、本研究で合成したアミノホスフィン配位子は、一座にも二座にもなり得ることが分かった。
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