| Research Abstract |
鎖末端にジエン骨格を有する分子量の規制されたポリマーを得ることを目的として、種々のアニオンリビングポリマーを2-(3-ハロアルキル)-1,3-ブタジエンと反応させた。反応をTHF中、-78℃で行うと、リビングポリマーの種類や対カチオン、ハロゲン種の違い、試薬の添加順序等に関係なくハロゲン化アルキル部分との求核置換反応が選択的に進行し、鎖末端に1,3-ジエニル基を有するポリマーが定量的に得られることをGPC,^1H NMR、TLC-FID測定から明らかにした。通常、重合性基を有するハロゲン化アルキルとアニオンリビングポリマーの反応では、ベンジルクロリド型のように反応性の高いハロゲン化物を大過剰用いることが必要とされているが、本研究の結果からは反応性の低い脂肪族一級のハロゲン化物を小過剰(2倍程度)用いるだけで十分であることがわかった。特に、反応性の低い塩素化物や脱離反応が起き易いと考えられる2-ブロモエチル-1,3-ブタジエンを用いた場合でもジエニル基が定量的に導入されたことは驚くべきことである。さらに、リビングポリスチレンの活性末端アニオンを1,1-ジフェニルエチレンで修飾した求核性の低いアニオンやメタクリル酸エステルのアニオンリビングポリマーのようなエノレート型アニオンからも反応が定量的に進行する等、興味深い事実が見いだされた。
導入された鎖末端の1,3-ジエニル基は無水マレイン、アクリロニトリル、アクロレインとDiels-Alder反応させることで容易に酸無水物構造、ニトリル、ホルミル基に変換することができ、新規のテレケリックポリマーの合成の有力な手段となり得ることが明らかになった。
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