Project/Area Number |
06750913
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
高分子合成
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
一ノ瀬 泉 九州大学, 工学部, 助手 (50243910)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 二分子膜 / キャストフィルム / 酸化モリブデン / 無機超薄膜 / 分子鋳型 |
Research Abstract |
本研究では、合成二分子膜のキャストフィルム層間での秩序正しいリン酸基の二次元配列を利用して、原子数個分の厚みの金属酸化物超薄膜を作成することを検討した。このため、キャストフィルム状態で高い秩序性と化学的安定性を有するリン酸型二分子膜の系統的な合成を行った。これらのキャストフィルムをモリブデンのポリ酸水溶液に浸漬し、フィルム層間での酸化物超薄膜の形成挙動と二分子膜の分子構造との関係を明らかにした。その結果、モノアルキルリン酸型親水部を有する二本鎖型二分子膜とオクタモリブデン酸イオンの組合せが最も良い酸化物超薄膜を与えることが明らかとなった。元素分析(C,H,N)、ICP測定(Mo)、FT-IRスペクトル、DSC測定、X線回折の結果、二分子膜と酸化モリブデンとの規則的な交互多重層構造が形成されていること、また膜層間の上下のリン酸基とオクタヘドラル構造の酸化モリブデン層とが縮合していることが示された。さらに、硫酸ヒドラジン水溶液で還元したフィルムのESRスペクトルならびにXPSスペクトルから、Mo(V)原子が規則配向した混合原子価酸化モリブデン超薄膜を形成できることが示された。 これらの結果から、有機・無機界面が分子的に対応づけられた複合材料の設計に二分子膜表面でのリン・モリブデン酸の縮合が有効であることが示された。またカチオン性二分子膜を用いることで、他の多核金属錯体(デカバナジン酸、タングステン酸やカドミウムの多核錯体等)にも拡張することが可能であり、二分子膜キャストフィルムを用いる本手法が有機・無機交互多重層構造の作成に広く一般化できることが明らかとなった。
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