時間分解表面増強ラマン分光法による膜タンパク質のダイナミックスの解析
Project/Area Number |
06750922
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
高分子構造・物性(含繊維)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
前田 寧 富山大学, 工学部, 助手 (60242484)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | ラマン分光法 / 表面増強ラマン分光法 / 自己組織化単分子膜 / 膜タンパク質 / 細胞モデル / チロクロムC / 表面 |
Research Abstract |
表面増強ラマン分光法(surface enhanced Raman spectroscopy(SERS)は、金・銀等の金属表面に吸着した分子からのラマン散乱光の増強効果を利用した測定法で、微量のサンプルで分子の局所的環境や配向を解析できる。本研究では、親水基を有するアルカンチオール誘導体からなる自己組織単分子膜(self-assembled monolayer(SAM)を細胞膜モデルとし、表在型膜タンパク質であるチトクロムC(Cyt-C)とSAMの相互作用をSERSで解析した。 銀コロイド表面に吸着したメルカプト脂肪酸(C_nCOOH)のSERSから、n>7では、C-C,C-S結合は概ねトランスコンホメーションをとっており、アルキル鎖が密に充填したSAMを形成しているが、n<5では構造に乱れがみられた。この表面修飾銀コロイドにCyt-Cを加え、Cyt-Cのヘムのβ吸収帯と共鳴する514.5nmの励起光でラマン散乱を測定するとCyt-Cの表面増強共鳴ラマンスペクトル(SERRS)がメルカプト脂肪酸のSERSにオーバーラップして観測された。同じ試料を非共鳴波長(488nm)の励起光で測定するとCyt-Cからの散乱は観測されず、C_nCOOHからの散乱みのが観測された。SERRSの効果の銀表面からの到達距離がSERSの効果よりも長いことを考えると、銀に直接結合したSAMの表面にCyt-Cが結合していることがわかった。また、アルキル鎖長の短いSAMではCyt-Cの吸着量が少なく、配向も乱れていることが判明した。さらに、電荷を持たないアルカンチオールSAMではCyt-CのSERRSが観測されないことや、システインのSAMを用いたSERRS強度のpH依存性の結果から、Cyt-Cは負電荷を有するSAMの表面に特異的に結合することがわかった。Cyt-C溶液の共鳴ラマンスペクトルと吸着Cyt-CのSERRSの酸化状態とスピン状態のマーカーバンドの位置を比較した結果、SAMへ結合した後もCyt-Cの構造は保持されることが明らかになった。 以上のように、本研究により、親水性の表面を有するSAMは細胞膜モデルとして適しており、SERSと組み合わせることで膜タンパク質の構造と相互作用を解析するのに有力な手段となり得ることが示された。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)