Research Abstract |
弾性振動系と音場との結合系の振動特性の測定性を考慮し、外部騒音によって振動しやすく減衰しにくい材料で構成されたステンレス製円筒(直径630mm,高さ400mm,板厚0.3mm)と、より高速回転を実現させるために軽量かつ寸法精度の向上を目的としたポリ塩化ビニル製円筒(直径200mm,高さ450mm,板厚0.2mm)を用いた.二つの回転モデルによる回転振動実験を実施した。本実験では、外部刺激音として、一般的な騒音に近いとされているピンクノイズ、正弦波信号音、スイ-プ信号音を、FFTアナライザーにより生成し、その外部音によって回転する円筒を励振させた。励振による振動放射音の測定は、外部音発信源付近、円筒内部中央付近、発信源とは反対側でかつ円筒体からある程度離れた周辺付近とし、DATによる集音およびFFTによる周波数解析を行った。また、発信源と内部および内部と周辺との伝達関数を解析し、円周方向に周期的に補強された円筒殻の音場制御つまり円筒体と音場との結合系による音環境変質の可能性を確認することができた。 本実験より、先に解析されている、回転円筒体の二次元モデルである「周期的に弾性支持された回転するリング」の数値および振動実験より推測されていた回転方向に構造上の周期性を有する円筒状構造物の回転時の音響振動特性((1)遠心力効果による放射音固有振動数の変化,(2)コリオリカ効果による同音の固有振動数分離およびそれに伴ったうなり現象,(3)外部低周波成分(騒音)による高周波成分の励振,(4)ピンクノイズに対するフィルタリング効果,(5)スペクトル分布の明瞭化〔音色のめりはりの強調〕)を確認することができた。特に、〔音色のめりはり〕の良さが人にとって好ましいものであるする他研究の検討結果からも、(5)の特性が音環境装置としての本円筒体の可能性を示唆するものと考える。
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