Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
キュウリの養液栽培は土耕栽培に比べて樹勢の維持が難しく,生育後半になると生殖成長が抑制され,収量および品質が低下する.一方,連作障害の原因として,植物体から出されるアレロパシー(他感作用)物質が最近注目されている.キュウリにおいても自根からアレロパシー物質が出て,キュウリの生殖成長を抑制していると考えられる.そこで本研究では,水耕キュウリの培養液に含まれる根の滲出物(アレロパシー物質を含む)がキュウリの生育および収量に及ぼす影響を調査した. 初めに,水耕キュウリの栄養成長期および生殖成長期の培養残液が本葉出葉期のキュウリ苗の成長に及ぼす影響について調査した.16品種を用いて,培養残液でバイオアッセイした結果,栄養成長期より生殖成長期の培養残液で茎長,葉数,最大葉長,最大葉幅,地上部の生体重および乾物重が抑制された.根の滲出物に含まれる抑制物質は生殖成長期に多く出されることが明らかになった.また,抑制物質の影響は品種により差が認められた. 次に,バイオアッセイの結果,最も抑制された‘近成四葉2号'を用いて,培養残液に含まれる根の滲出物がキュウリの生育および収量に及ぼす影響について調査した.培養液を交換する区および追加液をする区を比べた結果,生育および収量に差はみられなかった.また,培養残液に追加液をした区でも抑制は認められなかった.よって,定植後の‘近成四葉2号'では培養液に含まれる根の滲出物の影響を受けにくいと考えられる. 以上より,水耕キュウリの生殖成長期の培養液にキュウリ苗の生長を抑制するアレロパシー物質が含まれることが明らかになった.本研究では,定植後のキュウリの成長,とくに生殖成長に及ぼす影響については明らかにならなかったが,品種および栽培環境を今後検討する必要がある.
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