自生コムギの雑草制圧作用利用技術に関する基礎的研究
Project/Area Number |
06760045
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
植物保護
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
小松ざき 将一 茨城大学, 農学部, 助手 (10205510)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1994: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 持続型農業 / 圃場生態的雑草防除 / コムギ / ダイコン / 自生化 |
Research Abstract |
低投入持続型農業の実現が望まれる現在、作物生産の場面で制圧作物(smother crop)の利用は一定の役割を果すものと考えられる。そこで本研究では、自生コムギのもつ多様な雑草制圧作用に注目し、「雑草をもって雑草を防ぐ」圃場生態的な新しい雑草防除法の可能性を探り、実際の作物生産の場面でその利用技術に関する知見を得ることを目的として以下の実験を行なった。 まず、自生コムギのもつ雑草抑制ポテンシャルを明らかにするために、自生コムギの発生数と雑草の発生量との関連について調査した。つぎに作物栽培下での自生コムギのもつ雑草抑制率を明らかにするために、自生コムギ、雑草および作物の生育試験を行なった。 実験期間中に発生した雑草はスカシタゴボウ、ノゲシ、メヒシバ、ヒメムカシヨモギなどであった。ところで、自生コムギの雑草抑制率は、自生コムギが存在しないときの雑草発生量に対して、自生コムギ発生条件下での雑草量との対比で求められる。そこで、調査結果より、自生コムギのもつ雑草抑制率(Y_<wp>)は、自生コムギ発生量(x)とすれば、1/Y_<wp>=A+Bxの双曲線に回帰した。これらのAおよびBの値は、作物栽培を行なわないとき、A=-0.017、B=3.5×10^<-4>となり、ダイコン栽培下ではA=0.004、B=3.6×10^<-4>となり、いづれもr=0.99で危険率1%水準で有意であった。この結果、自生コムギの発生数と雑草抑制率をみると、作物栽培を行なわないとき、自生コムギが50本/m^2のとき雑草抑制率は14%で100本/m^2のとき31%を示したのに対し、ダイコン栽培下では、それぞれ56.5%、73.9%と、ダイコン栽培下でその抑制作用が大きくなった。これら雑草発生率と、ダイコンの全収量との関係をみれば、ダイコンの全収量は、自生コムギの雑草抑制の大きい50〜100本/m^2の間でもっとも高くなり、それ以上の自生コムギが発生した場合ダイコンの収量を逆に減少させた。これは、自生コムギ自体がダイコンの生育を阻害したためと考えられる。今回の、実験結果では、雑草の繁茂を防ぎ、かつダイコンの収量を増加させる自生コムギの発生密度は50〜100本/m^2の間とされた。 従って、今回の実験結果から、低投入型持続的農業において、自生コムギのもつ雑草抑制作用は、作物栽培下で有効に活用される可能性が実証された。今後、他の作物に対しても同様の検討が求められた。
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Report
(1 results)
Research Products
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