Project/Area Number |
06760058
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Plant nutrition/Soil science
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 浩昭 東京大学, 農学部, 助教授 (60180973)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | CDPK / Kinase / Phloem / Thioredoxin |
Research Abstract |
植物は外界からの刺激に反応し、その情報を他の部位に伝えるが、このような各器官間の情報の長距離輸送は主として篩管を通じて行われると考えられている。現在まで、植物ホルモンなどのような低分子化合物によるもの、ペプチドによるもの、さらには、電気的なシグナルによるものが考えられており、その幾つかについては、詳細な研究が進められている。篩管の中での、何らかのセカンドメッセンジャーの変動やプロテインキナーゼの存在を明らかにすることができれば、どのような情報伝達の仕組みが存在するのかを明らかにすることができる筈である。これまで我々の研究グループは、篩管内でタンパク質のリン酸化反応が起こっていることを世界に先駆けて発見しており、この反応と情報伝達の係わりの解明が待たれていた。 本年度は,1)篩管内に存在するタンパク質の同定とと遺伝子のクローニング,および2)情報伝達に関与すると考えられるキナーゼの同定の性質を明らかにすることを目的としていた。 イネ篩管液1ml中のタンパク質を精製し,二次元電気泳動により分離した後,特に多く存在するタンパク質のスポットを気相シークエンサーにかけ,その一次配列を決定した。得られた配列よりオリゴヌクレオチドを合成し,cDNAライブラリーをスクリーニングし,篩管液タンパク質のうち最も多く存在するものの一次構造を明らかにした。相同性検索の結果,このタンパク質はチオレドキシンと高い相同性を持つことが明らかになった。篩管内にチオレドキシンが多く存在することは,植物の防御機構を考えるうえで新たな知見を与えるものと考える。 また,篩管内に存在するキナーゼの性質も明らかにした。試験管内の実験によれば,篩管に存在するキナーゼはカルシウムイオンのみにより活性化され,カルシウムとの結合能を備えていた。イネ篩管内に存在するキン-ゼは,分子量約7万であり,植物に特徴的に存在するカルシウム依存性タンパク質リン酸酵素であると決定した。 本年度の研究成果は,植物における情報の長距離輸送を考えるうえで新たな考え方を導入する契機になると考えている。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)