Research Abstract |
好アルカリ性Bacillus sp.NKS-21の生産するアルカリプロテアーゼ(スブチリシンALPI)をコードする遺伝子の全塩基配列を決定した。本遺伝子は1123bpからなる翻訳領域を持ち,374アミノ酸から成るタンパク質をコードしていた。この遺伝子をaprQと名付けた。aprQにコードされたアルカリプロテアーゼは,37アミノ酸から成るシグナル配列,65アミノ酸から成るプロ配列,および272アミノ酸から成る成熟体領域の3つの領域から構成されていた。本プロテアーゼのアミノ酸一次配列は,今までに知られている他の微生物由来のセリンプロテアーゼのものとは大きく異なり,中性のみで生育できる中性Bacillusの生産する中性スブチリシン,およびアルカリ領域でのみ生育できるアルカリ性Bacillusの生産するアルカリスブチリシンのいずれとも異なる独自のグループを形成することかを明らかにした。 また,もう一つの好アルカリ性Bacillus sp.G-825-6の生産するアルカリセリンプロテアーゼ(スブチリシンSendai)を見出し本酵素の精製,諸性質の決定を行い,さらに塩基配列を決定した。この酵素はアミノ酸一次配列より典型的なアルカリスブチリシンに属するものと考えられた。本酵素は,スブチリシンALPIより高いアルカリ耐性を示した。しかし,界面活性剤に対する耐性は非常に低かった。 これらの2つの新しいスブチリシンと以前に我々が見出した中性スブチリシンの一つであるスブチリシンNATの大量発現のために,枯草菌を宿主として納豆菌由来のスブチリシンNATのプロモーター領域並にシグナル領域を用いて発現系を構築した。その結果,スブチリシンSendaiは発現が可能になった。しかし,1つの酵素のみで独自のグループを形成するスブチリシンALPIは,この発現系ではほとんど発現することなく,タンパク質合成に今までに知られていない機構が必要であると考えられた。
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