Project/Area Number |
06760086
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
応用微生物学・応用生物化学
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
大城 隆 鳥取大学, 工学部, 助手 (00233106)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | ジベンゾチオフェン / 微生物脱硫 / 有機硫黄化合物 / Rhodococcus属細菌 / 難分解性化合物 |
Research Abstract |
石油、石炭などには硫黄化合物が含まれ、これが燃焼する際に発生するSOxは大気汚染、酸性雨の原因となる。現在行われている脱硫法はエネルギーを大量に消費し、また有機硫黄化合物を完全には除去できないプロセスであるため、その代替法として微生物脱硫法が注目を集めている。現在まで、化石燃料に含まれる含硫化合物のモデル化合物である、ジベンゾチオフェン(DBT)を分解資化できる数種の微生物が報告されているが、そのいずれも脱硫能力は低く、培養特性、脱硫機構の詳細については不明であった。本申請者は、自然界のさまざまな環境下より広範囲のスクリーニングを行った結果、DBTを単一硫黄源として増殖できる細菌Rhodococcus erythropolis D-1 を取得することができた。本菌株は50mg/lのDBTを2日間の培養で完全に分解し、それに伴い等モル量の2-ヒドロキシビフェニル(2-HBP)が生成した。また、本菌株の休止菌体を用いると約400mg/lのDBTを2時間30分で完全に分解することができ、やはり等モル量の2-HBPの生成が認められた。このことより本菌株は、すでに報告されているDBT分解菌に比べて極めて高い脱硫能を有していると考えられた。また、DBTから2-HBPへの転換反応において炭素原子の消失は全くなく、この菌株が保持しているDBT代謝経路は、脱硫に応用するうえでエネルギーロスのない効率的な経路であると結論づけられた。一方、DBTの分解を触媒する酵素については現在まで全く報告されておらず、そればかりか、炭素-硫黄結合を開裂する酵素に関する研究もほとんどなされていない。炭素-硫黄結合を開裂する反応は、有機化学的な観点からもユニークな反応である。今回、無細胞抽出液を用いてDBT分解反応を行ったところ、NADHを添加することにより反応が進行することを初めて明らかにした。NADPHの活性はNADHの約10%であった。この反応においては培養や休止菌体反応と異なりDBTが完全に消失した時点での2-HBPの生成量は加えたDBTの半分程度であり、さらに反応を続けると最終的に等モル量の2-HBPが生成した。これは反応中間体が一時的に反応液中に蓄積するためと考えられた。
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