Research Abstract |
本研究では棘皮動物グミ(Cucumaria echinata)から得られた生体防御関連タンパク質のうち,4種類のCa^<2+>依存性レクチン(CEL-I〜IV)及びβ-1,3-グルカン結合タンパク質(βGBP)の構造とその性質について検討を行った.構造についてはCEL-IVの全アミノ酸配列をタンパク質化学的方法によって決定し,その特徴について検討した.このレクチンはアミノ酸157残基のサブユニット(分子量17kDa)が4個,ジスルフィド結合を介して会合しており,そのアミノ酸配列から,Ca^<2+>依存性のC型レクチンとの明らかな相同性が明らかになった.しかしながら,その相同性は比較的低く,最も相同性の高いマナマコ(Stichopus japonicus)やムラサキウニ(Anthocidaris crassispina)のレクチンと比較しても40%以下であった.また,C型レクチンに多く保存されている分子内ジスルフィド結合についても,2つのうち片方が欠失していることが明らかになった.一方,C.echinataレクチンのうちでも溶血活性という新規な生理活性を有するCEL-IIIについては,その活性発現機構を解明するために,種々の条件下での赤血球との相互作用について検討した.その結果,CEL-IIIの溶血活性はアルカリ側,特にpH10付近,また10℃で最も高いことが明らかになった.さらに,CEL-IIIは赤血球膜に会合体として不可逆的に結合することなどから,CEL-IIIは赤血球膜内でイオン透過性の小孔を形成し,そのために生じた赤血球内外の浸透圧差によって細胞膜が破壊されたものと推定した.一方,βGBPについては,β-1,3-グルカンであるカードランを用いたアフィニティーカラムによって,電気泳動的に均一な標品として精製し,分子量が約45kDaである事を明らかにした.
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