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¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
熊野灘低栄養海域から低栄養液体培地を用いて分離した通性低栄養海洋細菌KE10株は,人工海水に0.5ppm程度の有機物を加えた低栄養培地で増殖可能なうえ,全く有機物を添加しない人工海水中でも長期間生存可能である。これまでに一般的な生理学的特徴から本細菌はVibrio属に属することが明らかになっていたが,今回PCR法を用いてKE10株の16SリボゾームRNA遺伝子を増幅し,その塩基配列を決定したところ,本菌株はAlteromonas macleodiiのそれとおよそ95%の高い相同性を示した。 次にKE10株を5gペプトンを含む高栄養培地および0.5gのペプトンしか含まない低栄養培地で培養し,その対数増殖期と定常期の細菌細胞からタンパク質を抽出した。同時に,全く有機物を添加しない人工海水中で2週間飢餓生残させた細菌細胞からもタンパク質を抽出した。それらをMultiphore II二次元電気泳動システム(ファルマシア社)を用いて二次元展開し,それぞれの状態の細菌細胞のタンパク質発現のパターンを比較した。その結果低栄養培地で対数増殖している細菌細胞に特徴的にみられるタンパク質が5種見つかった。この中から特に存在量が多いタンパク質(Olg I)を切り出し,ナイロンメンブレンに転写後,微量アミノ酸気相シークエンサー(ABI社)を用いてN-末端のアミノ酸配列を決定し,その情報からオリゴヌクレオチドプローブを作製した。このプローブを用いてKE10株のゲノムDNAからOlg I遺伝子をクローニングした。この遺伝子の全塩基配列を決定した結果,生物界に広く存在するAldehyde dehydrogenaseと比較的高い相同性が得られた。特に,Vibrio choleraのそれとアミノ酸配列で64%と極めて高い相同性を示した。低栄養条件下での増殖能との関連については現在解析中である。
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