六価クロムの毒性発現機構と微生物の六価クロム還元酵素に関する研究
Project/Area Number |
06760296
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Applied molecular and cellular biology
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
鈴木 徹 岐阜大学, 農学部, 助教授 (20235972)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 六価クロム / 重金属毒性 / 六価クロム還元酵素 / 遺伝子クローニング / Pseudomonas ambigua G-1株 / 過酸化水素 / ヒドロキシラジカル / カタラーゼ変異株 |
Research Abstract |
1.Pseudomonas ambigua G-1株の生産する六価クロム還元酵素を高度に精製し、そのN-末端のアミノ酸配列を20アミノ酸残基について決定した。この配列を、既知のアミノ酸配列のデーターベースに対しホモロジーの検索を行ったが、顕著な類似性を示す配列は得られなかった。決定したアミノ酸配列を基に、56ベースの合成DNAプローブを作製し、ラムダファージをベクターとしたP.ambigua G-1株の染色体DNAライブラリーよりクローニングを行った。その結果、3株のポジティブクローンを得、現在その塩基配列の決定を行っている。 2.電子スピン共鳴法を用いたin vitro解析から、六価クロムの毒性発現には、六価クロムが、細胞内で1電子還元されて生成する、五価クロム中間体の役割が、細胞内の過酸化水素と反応し、ヒドロキシラジカル(・OH)を生成し、これがDNA、脂質やタンパク質と反応することにより、細胞を死に追いやることが、予想されている。この反応が、in vivoでも成り立つか否かを明らかにするため、Escherichia coli K-12のカタラーゼ欠損変異株用い、六価クロムの毒性に対する過酸化水素の影響を検討した。その結果、確かに細胞外から加えた過酸化水素は、カタラーゼ欠損変異株において六価クロムの毒性を著しく増強した。その効果は、カタラーゼクローン株では抑制された。また、・OHのスカベンジャーとして知られるマンニトールを加えた場合に生菌数の減少はほぼ完全に抑制された。このことから、細胞内で、過酸化水素が、クロム分子種と反応しヒドロキシラジカルが発生し、細胞を死に至らしめるというモデルが、Escherichia coliにおいて成立することが明らかになった。また同時に、1mM以下の比較的低い六価クロム濃度においては、過酸化水素とヒドロキシラジカルが関与せず、クロムがDNAと直接反応してニックを形成するるという新しいタイプの毒性発現機構が存在することが示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)