Research Abstract |
【背景】カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は中枢神経内に多く分布していることが知られているが、その生理作用、特に循環制御に関しては明らかにされていない。【目的】本研究は圧受容器反射の中枢性メカニズムにおけるCGRPの関与を調べるため、CGRP受容体レベルでの拮抗作用を有するhCGRP(8-37)の大曹内前投与による圧受容器反射感受性(BRS)への影響を検討することである。【方法】実験I(頻脈反射への影饗):12週齢の雄性Wistarラットに麻酔下で大曹内にガイドカニューレを装着する。5-7日後、左大腿動脈と右頚静脈にカテーテルを挿入し、翌日、覚醒下で平均血圧(MAP)、心拍数(HR)をモニターしながら、溶媒(0.9%生理食塩水)、hCGRP(8-37)1、2.5、5nmolの大曹内前投与のニトロプルシド(SNP)10μg/kg静注によるMAPとHRの変化に及ぼす影響を観察した。実験II(徐脈反射への影饗):実験Iと同様な方法を用い、hCGRP(8-37)1、2.5、5nmolの大曹内前投与のフェニレフリン(PE)5μg/kg静注は有意にMAPの低下(97±2mmHg→75±2mmHg,n=10)とHRの上昇(386±9bpm→456±10bpm)を惹起した。2)hCGRP(8-37)の前投与はMAPの低下には影響しなかったが、HRの上昇を有意に増加させた(△HR;vehicle69±6;1nmol82±6,p<0.05;2.5nmol86±6,p<0.01;5nmol91±7,p<0.01,n=10)。3)SNP静注によるBRSはhCGRP(8-37)の前投与により有意に上昇した(vehide3.2±0.3bpm/mmHg:1nmol3.9±0.4,p<0.05;2.5nmol4.4±0.3,p<0.01;5nmol4.6±0.4,p<0.01,n=10)。【考察】以上の結果より、中枢内CGRPは圧受容器反射、特に降圧による頻脈反射に抑制的に関与している可能性が考えられた。徐脈反射系に対する実験は現在進行中である。
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