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¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
本年度では培養大腸由来細胞株HT29にパッチクランプ法を適用し,インサイドアウト法で脱分極依存性外向整流性C1チャネル(以下ORDICと記す)を活性化させ,ラットの種々臓器をホモゲナイズし遠心後上清をチャネルに投与した.その結果,ORDICに対する阻害効果は,小腸>肝臓>腎臓>脳の順であった.以後小腸のサンプルを用いて実験を行った.限外濾過により阻害物質の分子量を見積もったところ,分子量700以上,10K以下のところで阻害効果があることが分かった.さらに,チャネルに対して阻害効果をもつ物質は,陽イオン交換体(CMセルロース)には吸着せず,陰イオン交換体(DEAEセルロース)に吸着することが明らかになり,この物質が負荷電をもつことがわかった.さらに,阻害効果の膜電位依存性を調べてみると脱分極側で阻害効果が弱くなり,この結果はORDICが細胞から切り出されたパッチ膜において,脱分極により活性化される現象を説明するものと考えられた.またHT29よりmRNAを取り出し,アフリカツメガエル卵母細胞に注入した.その卵母細胞をホモゲナイズし遠心し上清をORDICに投与したところ阻害効果が認められたのに対して遺伝子を注入していない卵母細胞では阻害効果が認められなかった.これらの実験よりORDICを抑制した物質が遺伝子の発現産物であることが明らかになった. 以上の実験より本年度ではC1チャネルの阻害物質の同定まではいたらなかったが,阻害物質の新たな性質(負電荷および膜電位依存性の阻害効果)を見出すことができた.
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