Project/Area Number |
06770059
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
General pharmacology
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
深尾 充宏 北海道大学, 医学部, 助手 (10250432)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 内皮細胞由来血管平滑筋過分極因子 / 糖尿病 / 酸化LDL / リソフォスファチジルコリン / 血管弛緩反応 |
Research Abstract |
本研究の目的は、動脈硬化を促進する病態において増加しているlysophosphatidilcholine(LPC)の内皮細胞由来血管平滑筋過分極因子(EDHF)に対する影響を検討し、LPCの動脈硬化促進因子としての可能性およびそのメカニズムを検討することである。 エーテル麻酔下に摘出したWistar ratの腸間膜動脈標本を作成し、膜電位変化を微小電極法により、また血管弛緩反応を張力トランスデューサーを用いて測定した。 アセチルコリン(ACh)は、濃度依存性に、内皮細胞依存性に、血管平滑筋細胞の膜電位を過分極させた。例えば、ACh 10^<-6>Mは、膜電位を-16.4±0.4mV過分極させた。LPCはそれ自体では、膜電位変化を引き起こさなかったが、前投与により、AChの膜電位過分極反応を3μM以上で有意に抑制した(抑制率は、LPC 3μM;13%,5μM;52%,10μM;95%)。Pinacidilは、内皮細胞非依存性の血管平滑筋細胞の膜電位を過分極させたが、この過分極反応はLPCの前処置により影響を受けなかった。すなわち、LPCは、EDHFの過分極作用ではなく、EDHFの産生ないし放出を抑制し、AChによる膜電位過分極反応を抑制するものと推定された。 AChは、indomethacin存在下に、phenylephrineで前収縮させた血管を内皮細胞依存性に弛緩させた。例えば、ACh 10^<-6>Mは血管を100%弛緩させた。さらに、NOの合成酵素阻害薬である、L-NNAで前処置すると、最大血管弛緩反応は、70%に減弱した。この弛緩反応は、EDHFによる弛緩反応であるが、これは、LPC10μMの前処置により、ほぼ完全に抑制された。 以上より、LPCは、血管内皮細胞からのEDHF放出を抑制することにより、AChによる膜電位過分極反応および血管弛緩反応を抑制することが判明した。このLPCの作用は、LPCが増加する病態である糖尿病、高血圧症などにおける血管障害の原因の一つとして関与する可能性が示唆された。
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