生体内活性物質セロトニンの反射機構に関する研究(II)
Project/Area Number |
06770060
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
General pharmacology
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉岡 充弘 北海道大学, 医学部, 助教授 (40182729)
|
Project Period (FY) |
1994
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
|
Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | セロトニン / 咽頭反射 / 嘔吐運動 |
Research Abstract |
本研究では末梢神経セロトニン受容体をなかでも5-HT3受容体を興奮させることにより、嘔吐様反射が生じることを麻酔ラットを用いて明らかにした。この反射の入力側は末梢神経に存在するセロトニン受容体であり、遠心性神経は迷走神経喉頭枝であることが分かった。また、咽頭腔内にバルーンを逆行性に食道より挿入し、その内圧が連続的に測定できるシステムを開発した。この方法を用いて咽頭筋の運動を記録した。麻酔ラットにセロトニンを静脈内投与すると咽頭筋の収縮反応が観察された。これには咽頭収縮筋群(上、中、下咽頭収縮筋)が関与しており、咽頭挙筋群(茎突咽頭筋、口蓋咽頭筋、耳管咽頭筋)は関係していなかった。さらに、これらの咽頭筋収縮反応は頚部迷走神経を切断することにより消失し、5-HT3受容体拮抗薬前投与によっても有意に抑制された。 以上の結果からラットにおいて末梢性5-HT3受容体を介する咽頭反射の存在が証明された。この反射運動が嚥下運動であるのかあるいは嘔吐運動であるのかについては、従来ラットでは嘔吐を生じないと言われていた。しかし、咽頭挙筋群は主に嚥下に関与していることが知られており、今回の実験でこれらの筋群の関与がなかったことは嚥下ではなく嘔吐様運動である可能性を示唆するもなる。嘔吐運動は主に横隔膜、肋間筋、腹筋の収縮による胃内圧の上昇による一連の運動であるが胃の幽門収縮や噴門部の弛緩が同時に生じて起こるものである。従ってラットでは胃に関する協調運動が欠如しているために嘔吐運動が生じないのかもしれない。 本研究により末梢性セロトニン受容体による複雑な反射系の一つが薬理学的に解明された。
|
Report
(1 results)
Research Products
(2 results)