酸化された低比重リポタンパク質(酸化LDL)によるマクロファージ増殖機構の解析
Project/Area Number |
06770110
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Pathological medical chemistry
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宮崎 章 熊本大学, 医学部, 助手 (70253721)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | マクロファージ / 酸化LDL / 細胞増殖 / リゾリン脂質 |
Research Abstract |
本補助金によって遂行された研究により、酸化LDLに存在するマクロファージ(Mφ)増殖誘導因子の同定に成功した。酸化LDLの主要リン脂質であるリゾリン脂質は種々の動脈硬化惹起性の生物活性を持つことが知られており、我々はまずリゾリン脂質の役割に注目した。酸化LDLと高比重リポタンパク質(HDL)を保温し超遠心で再分離すると、脂質交換反応によって酸化LDLのリゾリン脂質含有量は未処理酸化LDLの3分の1に減少し、Mφに対する増殖誘導作用も平行して減少した。酸化LDLと同様にMφの泡沫化を惹起するアセチル化LDLは、単独ではMφ増殖誘導作用を有しなかった。しかしアセチル化LDLをホスホリパーゼA2処理し、リン脂質の75%をリゾ体に変換すると、酸化LDLと同程度のMφ増殖能を示した。以上の結果より、リゾリン脂質が酸化LDLのMφ増殖誘導能に必須の役割を果たしていることが示唆された。しかしながらリゾリン脂質単独ではMφの増殖は惹起されなかった。従ってMφの増殖誘導には、リゾリン脂質並びに酸化LDL、アセチル化LDLなどの変性LDLの二つの要素が重要であると考えられた。酸化LDLのリゾリン脂質がスカベンジャーレセプターを介してMφに取り込まれることによってMφの増殖が惹起されるものと推定される。 本研究は、病理形態学的に明らかになった動脈硬化病変局所におけるMφ増殖現象に対し、その誘導因子を物質レベルで初めて明らかにしたものであり、これまで想定されてきた動脈硬化初期病変の形成機序、特に泡沫細胞集族のメカニズムに関する見解に大きな修正を迫るものである。 なお、本論文は平成6年度日本動脈硬化学会学術奨励賞受賞論文に認定された。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)