ヒトパピローマウイルス感染と変異p53遺伝子発現の尿路系思性腫瘍における解析
Project/Area Number |
06770127
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Human pathology
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
降幡 睦夫 高知医科大学, 医学部, 文部教官助手 (10209158)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | ヒト乳頭腫ウイルス / p53 / bcl-2 / 腎盂尿管癌 |
Research Abstract |
外科的に切除された腎盂尿管癌91例のホルマリン固定材料をパラフィン包埋とし、これよりスライド切片を作製し、抗p53抗体を用いた免疫組織化学的検索と、in situ hybridization(ISH)によるHPV type-16,-18DNAの有無とタイピングの検討を行った。23例に関しては、未固定の手術材料を用いて、Goelzらの方法に従いDNAを抽出し、PCR法にて遺伝子増幅後、増幅物を制限酵素処理(Rsal,Ddel,Haelll処理)し、パターン解析によりHPVの感染の有無及びタイピングを明らかにし,ISHで得られた結果と比較検討を行った。さらに同様の材料にてDNAを抽出し、これを鋳型としてp53遺伝子のExon5-8それぞれについてPCR法を行い、得られた増幅産物を用いて、p53遺伝子の塩基配列を調べ、点突然変異、欠損、挿入等、変異の有無を解析した。腎盂尿管癌91例中、抗p53抗体陽性例は25.3%(23/91)、ISHによるHPV type-16,-18DNA陽性例は40.7%(37/91)にみられ、3例において異常p53蛋白発現とHPV感染の重複を同一腫瘍に認めた。23例に関しては、26.1%(6/23)にp53遺伝子の点突然変異を認め、これらはいずれも抗p53抗体陽性であった。PCR法によるHPVの感染の有無については、26.1%(6/23)にHPVtype-16DNAをみ、うち4例ではISHにおいてもHPV type-16DNAをみとめた。以上より、腎盂尿管癌においても異常p53蛋白発現とHPV感染を高率に認め、特に異常p53蛋白発現に関しては、p53遺伝子の点突然変異と密接な関連があることが示唆された(Int J Cancer,投稿中)。 さらに腎盂尿管癌91例において、p53遺伝子及び異常p53蛋白発現に関するデータに、抗bcl-2抗体を用いた免疫組織化学的検索の検討を加え、未固定の23例について抽出したDNAを用いてbcl-2遺伝子の再構成についても検討した。その際、3例の抗p53抗体陽性の浸潤型移行上皮内癌において、抗bcl-2抗体による免疫組織化学的検索を行ったところ、非浸潤部上皮癌では抗bcl-2抗体陽性となったが、浸潤部では抗bcl-2抗体陰性となり、同一腫瘍においても進展様式により、癌遺伝子の発現様式が変わり得るという興味深い結果が得られた(J Pathol,投稿中)。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)