Research Abstract |
緑膿菌外膜の透過孔形成蛋白質(ポーリン)の一つであるprotein Cは、グラム陰性菌のポーリンの中で最も大きく(分子量約7万)、透過孔形成以外の機能を有している可能性があり興味が持たれる蛋白質である。本研究において、protein Cの構造と機能を明らかにするために、protein C遺伝子をクローン化しその塩基配列を解析した結果、以下のことが明らかとなった。 1.proteinC遺伝子は2,169塩基対のオープンリーディングフレームよりなり723アミノ酸をコードしている。 2.精製したprotein CのN末端配列を決定した結果、成熟protein Cは668アミノ酸(分子量73,372)よりなっている。 3.類縁菌であるP.stuszeriのN_2O呼吸に関与する外膜蛋白質NosA(銅結合蛋白)と高い相同性(65%)があった。 4.protein Cは銅に対し高い親和性があった(kd=2.6μM)。 5.protein Cの発現は培地中の銅イオンにより抑制され、硝酸塩を電子受容体とした嫌気培養条件下で脱抑制された。 6.ホモロジー検索の結果見い出されたprotein Cとホモロジーのある蛋白質は、グラム陰性菌外膜のイオン透過に関与している一群のTonB依存性蛋白質(FepA,PfeA,Cir,FhuE,BtuB)であった。 以上より、protein Cは緑膿菌のN_2O呼吸系に関与するチャネル蛋白質である可能性が示唆され、さらにprotein Cは未同定のTonB様蛋白によってその機能が修飾されている可能性が考えられた。
|