Research Abstract |
恙虫病リケッチアの遺伝子構造については、16SrRNA遺伝子や、リケッチア構成蛋白である22,46,56,60kDa蛋白遺伝子の構造解析が行われているが、このリケッチアの染色体の全体構造に関する研究は皆無である。本研究では近年巨大DNAの解析法として開発されたパルスフィールドゲル電気泳動法を用いて、恙虫病リケッチアの染色体サイズの測定、染色体地図の作成及びこのリケッチアの株間の染色体構造の差異の検索、等を目的として研究を行った。その結果、(1)このリケッチアの染色体は一本の環状構造をしていること、(2)血清型を異にするGilliam,Karp,Kato及びKuroki株の染色体サイズは2.1〜2.7Mb(メガベース)であり、このサイズは発疹チフス群または紅斑熱群リケッチアのものよりも2倍近い長い染色体であること、(3)この染色体サイズは恙虫病リケッチアの上記4株の間で数100kbの差異があること、及び染色体の制限酵素SmaI,EagI,ApaIの切断パターンにこれらの株間で差異が見出されたこと、(4)すでに明らかにされているこのリケッチアの16SrRNA遺伝子や22,46,56,60kDa蛋白遺伝子をプローブとしたSouthern hybridization法により、これら遺伝子の染色体上の位置を明らかにし、Gilliam及びKarp株についての染色体地図の作成に成功したこと、などの新知見を得た。
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