Research Abstract |
1.酵素誘導ラットにおけるトリクロロエチレン(TRI)と1,1,1-トリクロロエタン(1,1,1-TRI)の体内動態 Wistar系雄性ラットをエタノール群と対照群の2群に分けた。そして、0,50,500,1000ppmのTRIあるいは1,1,1-TRIを6時間吸入暴露し、母物質の血中濃度および代謝物(TCAとTCE)の尿中濃度を経時的に測定した。エタノール(Low-Km isozymeのCYP2E1を誘導する)による酵素誘導のTRIと1,1,1-TRIの体内動態に及ぼす影響の暴露濃度依存性を検討した。その結果、TRIでは高濃度(500ppm)にならないと酵素誘導の影響が現われないが、1,1,1-TRIでは低濃度(50ppm)でも酵素誘導の影響が現われることが判明した。 2.酵素誘導ラットにおけるクロロホルム(CHCl_3)と四塩化炭素(CCl_4)の体内動態と肝毒性 同様にエタノール群と対照群のラットの肝ミクロソームを用いてin vitroのCHCl_3とCCl_4の代謝速度および肝グルタチオン(GSH)濃度を測定するとともに、0,50,100,500ppmのCHCl_3あるいはCCl_4を6時間吸入暴露し、母物質の血中濃度を経時的に測定した。吸入暴露開始24時間後に、血漿GOTとGPT活性および肝GSHを測定し、これらを肝毒性の指標とした。また、肝・腎の病理組織学的検索も行った。エタノールによる酵素誘導のCHCl_3とCCl_4の体内動態と毒性に及ぼす影響の暴露濃度依存性を検討した。その結果、CHCl_3では高濃度(500ppm)にならないと酵素誘導の影響が現われないが、CCl_4では低濃度(50ppm)でも酵素誘導の影響が現われることが判明した。 *フェノバルビタール(High-Km isozymeのCYP2B1を誘導する)による酵素誘導が、これらの物質の体内動態と毒性に及ぼす影響については、現在検討中である。
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