金製剤処理ヒトマクロファージによる好酸球遊走性リンホカイン産生増強反応機構の解析
Project/Area Number |
06770339
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
内科学一般
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
坂田 研明 熊本大学, 医学部・附属病院, 助手 (60225795)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 好酸球増多症 / 金チオリンゴ酸ナトリウム(GST) / 慢性関節リウマチ / 抗リウマチ剤 / 好酸球遊走性サイトカイン / マクロファージ因子 / インターロイキン-4(IL-4) / インターロイキン-5(IL-5) |
Research Abstract |
末梢血好酸球増多症は金製剤(GST)の最も頻度の高い副作用のひとつであることが知られており、かつ重篤な副作用発現の予知指標になると報告されているが、その機序については殆ど知られていない。我々は、従来より免疫性炎症病変局所への好酸球動員機構、すなわちリンホカイン由来の好酸球遊走因子(delayed ECF-a)の分離とその産生増強機構(ECF-PF)について解析を進めてきた。そこで今回、我々は、GST投与後に発現される末梢血好酸球増多症に着目し、これをGSTが実際に誘導する生体側の反応として捉えそのメカニズムを調べることを試みた。本研究は従来報告されてきた金製剤による抗リウマチ効果を単球機能の抑制という観点からではなく、むしろ単球系細胞のポジティブな生物作用の誘導による慢性炎症調節の可能性を検討するものであり、RA研究に独創的かつ新たなアプローチを展開するものである。すなわち治療濃度に相当する低濃度のGSTで、その体内での標的細胞と考えられるヒト単球・マクロファージを前処置すると、マイトジェン刺激により誘導されるリンパ球に由来する好酸球遊走性サイトカイン活性の産生が選択的に増強される。同時に測定したマクロファージ遊走性サイトカイン活性の産生は増強されなかった。この増強作用はGST処理を受けたマクロファージ由来の可溶性因子によると考えられた。同因子の特性として、分子量28-32Kd,等電点(P.I.)5.4,7.0,8.6であり、またトリプシンやノイラミニダーゼなどの酵素処理に対して感受性を示した。熱処理に対しても不安定であった。さらにGST処理を受けたマクロファージ培養上清中のサイトカイン定量をELISA法を用いて行ったところこの好酸球遊走性サイトカイン活性の産生を増強する作用はIL-4とは異なると考えられた。すなわち同上清中のIL-4濃度は検出限界以下であるとともに、この上清を共存させてリンパ球をマイトジェン刺激してもIL-5の産生は増強されなかった。IL-5は好酸球に対し遊走活性を示すことがよく知られており、マウスでナイーブTh0細胞がIL-4でプライミングされた場合、Th2細胞から産生誘導されることが報告されている、今回我々の解析によって、IL-4に加えて、GST処理を受けたマクロファージから誘導される因子は、マイトジェン刺激で誘導されるリンパ球由来のIL-5とは異なる好酸球遊走性サイトカイン(LD-ECF)の産生を増強する事実が明らかとなった。以上のデータから抗リウマチ剤である金製剤(GST)に由来する好酸球増多症の原因として、IL-4およびIL-5による反応連携とは異なる機序が潜在する可能性が示唆された。これらの知見は、平成7年7月19日より米合衆国サンフランシスコで開催される第9回国際免疫学会に一般演題として発表の予定であるとともに、現在論文投稿準備中である。
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Report
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Research Products
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