Research Abstract |
本研究では,我々がすでに作製した24種類の抗ヒトアシアロ糖蛋白受容体(AGPR)モノクローナル抗体(MoAb)を用いて,ヒト血清中に循環する遊離AGPRを測定し得るELISAの開発を試みた。その結果,30220MoAbを固相化し30201MoAbを標識2次抗体としたELISA測定系によりヒト血清中のAGPRを定量できることが明らかとなった。 次に,283名の健常人(男性125名,女性113名)の血清AGPR濃度を測定したところ,健常人のその分布は正規分布を示さず,Q-Qplotによる分布解析を行った。血清AGPR値は,年齢,性別による偏りを示さず,Q-Qplotによる中央値は0.4μg/l,90%tile値は2.4μg/lであった。 さらにアルコール性肝障害患者の血清AGPR濃度を測定した結果,アルコール性肝硬変患者での分布は中央値0.7μg/l,90%tile5.7μg/lと健常人およびウイルス性肝硬変の分布に比べ高値を示した。また,AGPR高値を示したアルコール性肝硬変患者では,禁酒後の血清AGPRは低下した。これらのことから,血清AGPRはアルコール性肝障害のマーカーとなることが示唆された。
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