Research Abstract |
1)急性肝炎および慢性肝炎患者の末梢血単核球または全血で産生される炎症性サイトカイン(IL-1α,IL-1β,IL-6,TNFα,M-CSF,IFNγ)の測定、および、それに与えるIFNαの影響。 急性肝炎患者では末梢血単核球が産生する炎症性サイトカイン(IL-1α,IL-1β,IL-6,TNFα)の産生が健常人と比べて低下する傾向にあり、特に、IL-1αとIL-1βの産生は有意に低下していた。末梢全血の産生する炎症性サイトカイン(IL-1α,IL-1β,IL-6,TNFα)は急性肝炎患者で有意に増加していた。慢性肝炎患者では末梢血単核球と全血のいずれにおいても、健常人と比べて炎症性サイトカインの産生に変化はなかった。抗ヒトIFNα抗体で処理した場合は、特に、肝炎が強い場合に炎症性サイトカインの産生が増強された。従って、in vitroでは内因性のIFNαにより炎症性サイトカインの産生が抑制されている可能性が示唆された。今回の測定はELISA法で測定した結果であり、bioassay法で結果を確認する必要があると考えられた。 2)肝炎患者肝組織における炎症性サイトカインとIFNα産生細胞の同定。 急性肝炎患者や増悪期の慢性肝炎患者のTNFα陽性細胞の多くはCD68陽性の浸潤単核球であり、M-CSF陽性細胞の多くも、同様に、CD68陽性の浸潤単核球と考えられた。IFNαの陽性像は、浸潤単核球ばかりでなく、肝細胞や肝非実質細胞の一部にも見られた。肝臓内のTNFα陽性細胞、M-CSF陽性細胞、さらに、IFNα陽性細胞の局在は、ほぼ、一致していた。 以上より、肝内で産生された炎症性サイトカインはIFNαにより制御される機序がin vitroで想定されたが、肝組織の検討では、むしろ、否定的であった。
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