細胞変形と剥離刺激に伴う気道上皮細胞におけるインターロイキン8遺伝子の発現
Project/Area Number |
06770418
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Respiratory organ internal medicine
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
中村 秀範 山形大学, 医学部, 講師 (30240675)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 気管支上皮細胞 / インターロイキン8 / 遺伝子発現 / 細胞骨格 |
Research Abstract |
【背景】気管支喘息や慢性気管支炎など種々の炎症性気道疾患において気道上皮細胞は、自ら様々な生理活性物質を産生し、病態を修飾していることが知られている。好中球エラスターゼ(NE)は、気道炎症において、最も重要な気道傷害物質の一つであり、近年、NEは気道上皮の剥離をもたらすだけでなく、好中球遊走活性化物質であるインターロイキン-8(IL-8)の遺伝子発現を誘導することが報告された。しかし、NEによるIL-8遺伝子の発現機序、特に剥離・変形現象とIL-8遺伝子発現との関連については知られていない。 【目的】NEによる気道上皮細胞のIL-8遺伝子の発現が、細胞の剥離・変形という現象と関連しているか、否かを検討する。また細胞の剥離・変形による細胞骨格成分のreorganizationが、IL-8遺伝子発現に及ぼす影響について検討する。また、この遺伝子発現の細胞内情報伝達経路について検討する。 【方法】無血清培養気道上皮細胞をcell scraperにて機械的に剥離、あるいはNE、トリプシン、EGTA,EDTA処理にて剥離・変形させ、ノーザン法にてIL-8遺伝子発現レベルを検討した。また、培養上清中のIL-8をELISA法にて定量した。同時に、細胞骨格修飾物質、あるいはチロシンキナーゼ阻害剤ゲニスタインで前処置し、IL-8遺伝子発現に及ぼす影響を調べた。 【結果】上述したすべての剥離・変形刺激にて、IL-8遺伝子の発現が観察された。又、これらの遺伝子発現は、微小管脱重合阻害剤タキソ-ルで抑制れた。逆に、微小管脱重合剤コルヒチン単独でも気道上皮細胞にIL-8遺伝子発現を誘導した。一方、アクチン脱重合剤サイトカラシンBはNE刺激によるIL-8遺伝子の発現に影響を与えなかった。同様に、上清中のIL-8蛋白量もNE刺激により上昇し、タキソ-ル処理により濃度依存的に抑制された。 剥離刺激によるIL-8遺伝子誘導は、ゲニスタイン添加により抑制された。 【総括】NE以外の剥離・変形刺激によりIL-8遺伝子発現が誘導されたことから、気道上皮の剥離・変形がNEによるIL-8遺伝子発現に関与している可能性が示唆された。この遺伝子発現には微小管脱重合の関与が示唆された。またチロシンキナーゼは、この遺伝子発現に促進的に働いていると考えられた。 炎症性気道疾患において種々のプロテアーゼによる上皮の剥離が観察されており、本研究の結果は気道炎症の成立気序を理解する上で重要なモデルになるものと考えられた。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)