Research Abstract |
急速減感作療法(rush immunotherapy以下RI)は、通常の減感作療法の過程を濃縮した手法であり、臨床的に有効であるばかりでなく、通常の減感作療法に比べ早期から免疫学的変化が発現するため減感作療法の作用機序を解明するうえでも有用であると考えられる。今回の研究では、RIの作用機序を解明する目的で、RIの好酸球機能と、IgE抗体産生とに関与するサイトカイン産生に及ぼす影響について検討した。 方法:同一喘息患者12例についてRI施行後4か月まで末梢血単核球を経時的に分離し各濃度のダニ(0,1,10μg/ml)を添加し、96時間培養後、上清を回収し、各種サイトカイン(IL-2,IL-3,IL-4,GM-CSF,IFN-γ)をERISA法にて測定した。 結果:GM-CSF産生については全例でダニ抗原濃度依存性に産生増加がみられ、うち4症例でRI施行4か月後の時点で産生が明らかに抑制された。しかし逆に増加した例、不変例もあり全体では一定の傾向はみられなかった。またIL-3産生については、RI施行4か月後で、IL-3産生が明らかに抑制された症例はみられなかった。IL-2、IL-4、IFN-γの各サイトカインの産生については、いずれも測定限界値以下であった。以上より今回の研究では、RI施行によるサイトカイン産生能について明らかな結論は得られなかった。今回の検討で測定限界以下となった理由の1つとして、培養をおこなった末梢血単核球数が少なかった可能性が考えられる。また長期RI施行症例における好塩基球ヒスタミン遊離能に及ぼすRIの影響の検討、ならびに長期RI施行例における抗体価の推移については現在計測中であり、結果は改めて報告する。
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