ヒトの運動ニューロン栄養因子に関する分子遺伝学的研究
Project/Area Number |
06770474
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Neurology
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute for Neuroscience |
Principal Investigator |
高橋 良輔 (財)東京都神経科学総合研究所, 神経学研究部門, 主任研究員 (90216771)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 運動ニューロン / 筋萎縮性側索硬化症 / ALS / 神経栄養因子 / 遺伝子変異 / スプライシング |
Research Abstract |
毛様体神経栄養因子(CNTF)は、脊髄運動ニューロンの強力な生存因子である。最近、CNTF遺伝子を欠失させたマウスで運動ニューロンの変性が生ずることが報告されたが、我々は、今回、遺伝的にCNTFを欠損したヒトが運動ニューロンをはじめとして神経系に明らかな異常をきたすことなく生存することを初めて明らかにした。ヒト坐骨神経cDNAライブラリーにより、2種類のCNTFのcDNAが単離された。一方は正常のCNTFのcDNAと考えられた。ところが他方は翻訳領域内に4塩基の挿入があり、それ以降の読み枠のずれによって、コードするタンパクが正常の1/3以下に短縮された変異のcDNAと考えられた。CNTF遺伝子の塩基配列を直接シークエンス法で解析したところ、片方のアレルにおいて、GからAへの点変異によってイントロン内に新たにスプライス受容部位(AG)が形成され、挿入配列に一致するイントロンの配列がエクソンに組み込まれることが判明した.変異遺伝子からは、培養細胞でもヒトの組織でも、変異のmRNAしか転写されないことが判明した。さらに、イムノブロットでの解析及び変異のホモ接合のヒトの脊髄根の免疫組織化学で変異タンパクに相当する免疫陽性物質は検出されなかった。以上より、この遺伝子変異はCNTFを完全に欠損させることが明らかになった。健康人151名、神経疾患の患者240名、計391名で、変異遺伝子の分布を決定した。その結果は、正常のホモ接合61.9%、ヘテロ接合35.8%、変異のホモ接合2.3%であった。変異のホモ接合はCNTFを欠損していると考えられるが、その頻度に健康人(4名)と患者(5名)で有意差はなく、また変異のホモ接合の患者が罹患する疾患にも一定の傾向はなかった。また、健康人ホモ接合2名において詳細な電気生理学的解析を行ったが、異常はなく、ヒトCNTFの欠損は神経疾患の病因には関与しないと結論した。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)